『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
そんな咲の考えも男達の荒げた声で止まった。
「まさかフーガか?!」
男の一人が叫ぶ。
「フーガ?」
淳が頭にハテナを浮かべた。
昂も困り果てていた。
この状況は昂の頭脳でも把握できないらしい。
男達はフーガの名が出たとたん慌てだした。
殺気も格段に強くなる。
「ならば生かしておけない!!」
一人の男が昂に斬り掛かってきた。
「うわっ?!」
いきなりの攻撃に昂は慌てた。
「(殺られる!!)」
とっさにそう思う。
だが、分かっていても身体が動かない。
足は縫い止められたように、ピクリとも動かなかった。
「昂!!」
「きゃああぁぁ!!」
淳、香奈が叫ぶ。