『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
咲も焦った。
そして、とっさに叫ぶ。
「やめて!!」
すると、突如咲の足元が一瞬強く眩しく光り、猛烈な風が吹き出した。
それは威力を増し、男達へと向かっていく。
「うわぁ!!」
男達は叫ぶ。
彼らは風で数メートル後ろに飛ばされた。
彼らの手にあった剣は、クルクルとみごとな弧を描き、さらにその数メートル後ろの草地に突き刺さる。
「昂!!大丈夫か?!」
淳が昂にかけよる。
「あぁ」
昂は息を深く吐きながら言った。
「それより今の風は何だ?」
昂は目をちらりと咲に向けた。
咲は何も言わずに、ただ飛ばされた男達を見ている。
その顔は青ざめていた。
風が吹く直前、咲の足元が一瞬光ったように見えた。
そして、風はそこから吹き出したと思う。