『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】




見間違いなんかじゃない。

そう、それはまるで魔法のようだ、と昂は思った。

驚いた。

だが、一番驚いているのは咲のようだった。

「(今のは何?)」

咲は自分に問う。

答えは知っている。

あれは、紛れもなくあの変な力だ。

しかし、いつもと大分違った。

あの時、「やめて」とは叫んだが「風で相手を飛ばす」なんて念じてはいなかった。

それなのに力は発動した。

それに、発動した瞬間、足元が一瞬強く輝いた。

これも今までになかった。

そして、何より大きな違いがその威力の大きさだった。

今までどんなに強く念じても、これほどまでに強い力が発動したことはなかった。





< 36 / 49 >

この作品をシェア

pagetop