『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「・・・咲、今の何?」
重苦しい沈黙を破ったのは香奈だった。
香奈は誰もが思っていた疑問を口にした。
「今、咲の足の下光らなかった?」
「それは・・・」
咲は口籠もる。
この力のこと、どうやってみんなに言ったらいいのだろう。
「やはりフーガか!!」
気が付けば男達が立ち上がっていた。
手にはしっかりと剣が握られている。
この男は頭を打ったようだ。
こめかみの辺りから出血している。
それを見た咲は一瞬怯んだ。
自分が傷付けたのだ。
その男は剣を振り上げると、咲に斬り掛かってきた。
咲は抵抗しなかった。
否、できなかった。
自分の力が人を傷付けたことに動揺していた。