『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「咲!!」
「危ない!!」
昂と淳が叫ぶ。
香奈は手で顔を覆い悲鳴をあげた。
咲は目を閉じた。
なぜそうしたか、分からない。
ただ、自然にそうしていた。
何より、相手に「申し訳ない」という気持ちでいっぱいだった。
だが、咲が覚悟を決めて目を閉じたのに、咲が斬られることはなかった。
代わりにガキィンという金属同士がぶつかり合うような音が響いた。
咲は驚いて目を開いた。
男は確かに剣を振り下ろしていた。
しかし、横から違う剣が咲の前に差し出され、咲が斬られるのを阻止していた。
つまり、誰かが剣を使い咲が斬られるのを守ってくれたのだ。