『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「君達は何をしているのかな?」
その咲を守った剣の持ち主が男達に向かって言った。
咲はその人物を見る。
それは気品を感じさせる青年だった。
落ち着いた深緑色の髪、それに良く合うオレンジの瞳。
背は高く、体型はしっかりとしていた。
白いシャツに黒いジャケットともコートとも言えるものを身につけている。
その服装は斬り掛かってきた男達と、とても良く似たものだった。
「副師団長!!」
斬り掛かってきた男が声をあげる。
そして、慌てて剣を引っ込める。
「申し訳ありません!!副師団長に剣を向けるなどと…」
「あぁ、別にかまわない」
「副師団長」と呼ばれた男は、ぞんざいに言葉を返し自分の剣を鞘に戻した。
「それより、どういうことか説明してもらおうか。なぜ、こちらの方に剣を向けたのか」
青年は鋭く、まるで刺すような眼差しを男達に向けた。
それは…、と男達はその視線におされ口籠もる。