『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
咲は驚いて一歩後ずさる。
彼の流れるような動きに目をうばわれていた。
これほどまでに綺麗な動きは見たことがない。
無駄がなく、洗練されたものだった。
シヴァは礼をとると、再び立ち上がって微笑んだ。
圧倒され、ものが言えない四人に対してシヴァはその口を開いた。
「ところで、あなた方はどちらからいらしたのですか?」
笑顔でいながらも、その口振りはまるで咲達の存在を疑っているかのようだった。
「それより、ここはどこなんです?」
シヴァの質問にうまく答えられずにいた咲の代わりに昂が言った。
質問に質問で返されたシヴァは少し顔をしかめる。
「ここですか?ここはカランド大陸のラントゥール王国ですが」
そんなことは小さい子供でも知っていると言うような顔でシヴァは言った。