『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「俺たちは日本という国にいました。ここは日本ではないのですね?」
昂が話を切り出す。
「そうです」
シヴァは辛抱強く、もう何度目かわからない肯定をした。
「俺たちは、全員、それぞれの家にいたんです。だけど突然四人同時にこの場所に来ていて…」
「は?」
昂の説明に、今度はシヴァが間の抜けた声を出した。
その姿を見た咲は驚いた。
なぜなら、声を出したシヴァは先程までの気高き気品の欠片もなかったからだ。
それに昂も気付いたのか、説明を切ってしまった。
シヴァは顎に手を添え、一人思案にふけ始めた。
時折、ぶつぶつと独り言のようなものを言っている。