『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「(この人、力を使ってる!!)」
咲はとっさにそう確信した。
そして、驚いた。
先程の咲が使った力は銀色のようだったから、赤い光の力を見るのは初めてだった。
否、他人が力を使うところを見ること自体初めてだった。
そして、自分以外にも力を使える人がいたのを知り、少しだけ安心した。
だが、昂、淳、香奈は違ったようだ。
三人とも明らかに驚きと好奇心と恐怖を浮かべている。
「なんだよ、それ」
淳が畏怖を込めて力なく言う。
目の前で起きていることが信じられないようだ。
「移動術です。知りませんか?」
シヴァはさらりと言う。