『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「今日の朝さぁ、もう親がうるさくて」
香奈は愚痴をこぼし始めた。
「どうして親ってあんなにうるさいんだろうね。いつも塾、勉強しか言わないし」
よほど嫌だったのだろう、周りが見えていないようだ。
「もういっそいなくて・・・」
そこで香奈はハッとした。
急いで咲の顔を伺う。
だが、咲の表情からは何も読み取れない。
香奈は気まずくなり、黙り込んでしまった。
そう、咲には両親がいない。