『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「はぁ〜〜〜っ」
香奈は教室で大きなため息をついた。
5時間目も終わり、残すところあと一時間分となる。
咲と香奈はクラスが離れているため、休み時間は別にいることが多い。
そうでなくとも、今の香奈は咲と会いにくい。
「(どうしよう。咲、怒ってないかな・・・)」
香奈は今朝の出来事を引きずっていた。
「はぁ〜〜〜っ」
再び盛大なため息をつく。
すると、突然声を掛けられた。
「何そんな湿気た顔してんだよ」
その声と共に香奈は頭を小突かれる。
頬杖をついていた香奈の頭は、カクンと動いた。
小突かれたところを擦りながら、香奈は顔をあげた。