『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】


「淳!」

香奈の目には茶髪にピアスの男子が映っている。

第一印象は「軽そうな奴」がぴったりとくるこの男子。

「お前がそんなに湿気た顔してんの、珍しいじゃん。やだ、天変地異の前触れ?」

「そんなわけないでしょ!あたしだって悩むことあるもん!」

「へぇ〜、どーだか」

彼の名前は桜井淳。

凛、香奈と同じく中学三年だ。

顔立ちはいい。

だが、髪の色、服装にはかなりの問題がある。

否、問題があると見ているのは教師側だけだ。

彼のそれは、いわゆる校則から外れすぎたのものだった。

その外見を表すかのようなさっぱりとした性格からか、クラスを越えて、学年の中でも人気がある淳だが、教師側からしてみれば目の上のたんこぶでしかない。




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