カタオモイ.










廊下をチラ見した---様に
見えた---後に、
小さい声で、
けれどもはっきりと
淳は私に問いかけた。


「琴音もハルが好きって
聞いたんだけど、馬路か?」



ポロリと机に置こうとした
筆箱を床に落とす。


「はい、落ちたんだけど」


腰を下ろして
筆箱をとる淳。


そのままの体勢で
私に突き出す。


「ありがとう」


心ここに在らず、
正しくその言葉が
合う様な時だったと思う。


「で、馬路な訳?」


淳は、またニヤリとし、
私に再度問いかけてきた。









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