運命の人
「正直よくわからない。今朝見た夢はほとんどが10年前のデート風景そのもので、今まで夢見たことないし、ずっと覚えてたわけでもなくて…
ただ、夢見てから昔のこと次々思い出してきて、そしたら後悔とか疑問とか浮かんできて…
でも、それが解決するはずもなくって『考えても仕方ない』って、思ってため息ついて終わらせて。
でも、また勝手に同じこと考えちゃうの。
ずっとそれの繰り返し」
香織は「格好悪いよね」と苦笑する。
「単なる夢じゃなかったんですね」
「うん」
少しの間を空け恵が言う。
「つまり、その後悔や疑問が引っかかってるってこと?」
香織はしばらく考えた。
そしていつもたどり着くのは、恵の言うとおり後悔や疑問だ。
その事に気付いて「そうかもしれない」と独り言のように呟いた。