王龍×姫龍
「その色が本当の色か?」
蒼也の問いかけが聞こえたのか聞こえてないのか、私は小さく頷いた。
「蓮愛ちゃん、何で隠してたの?」
和樹の問いかけに何て答えたらいいのかわからなかった。
ただ―――
『怖かった』
いつかはばれると思ってた。
『皆に気持ち悪がられるって思うと言えなくて…。何より、嫌われるかもって思うと怖くなって……』
多分最後の方は声が震えてたはず。もう自分では混乱と不安で何を言ってるかわからなかった。
私は皆の顔を見るのが怖くてずっと俯いていた。
「やっぱお前馬鹿だろ」
うん。私馬鹿だよ。って
『はぁ!?』
俯いていた私は思いっきり顔をあげた。馬鹿?確かに私馬鹿だけども。
「んで俺らがお前の瞳の色なんざで嫌わねぇといけねぇんだよ。意味わかんねぇぞ、チビ。まぁ背が小さいから脳も小さくてそんくらいもわかんねぇか」
そう言って彼方はケケケッと笑った。
「そうよ~ん。俺らはそんなちいせぇ事で嫌ったりしねぇの。あ、わりぃ。ちいせぇ事気にしてんだっけ??」
そう言いつつ全然悪いと思ってない顔でわりーわりーと連発してくる湊人。
「蓮愛ちゃんの事嫌いになるわけないよ。それにその紅すごく似合ってる」
和樹は私の瞳を見つめて微笑んだ。
「お前馬鹿より馬鹿だ。俺がお前を嫌う事なんて一生ねぇ」
馬鹿以上の馬鹿って私どんだけ馬鹿なんだよ蒼也。
「っつーことだから誰もお前を嫌いになんかなんねぇよ」
今まで経験したことのないような感情が込み上げてくる。
くそぉ…安心したら目の筋肉緩んだじゃんか。でも絶対泣かない。
―そう決めたから。