王龍×姫龍
「んで礼言ってんだよ」
『だって蒼也、ずっとそこ居てくれてたんでしょ』
「俺が居たくて居ただけだ」
『素直じゃないなぁ。とりあえず起きるかな』
さすがに寝たままもよくないしね。さて、起きよ。
かけてあった布団をバサッと蹴飛ばして体を起こそうとした。…あれ。
『おいおい篠塚君。何をしているんだい?押さえてたら起きれないではないか』
「馬鹿が。今起きたらまたぶっ倒れんぞ」
こいつ…。
私が起き上がれないように頭を手で押さえつけてやがる。まるで私が漬物で蒼也の手が漬物石みたいだ。漬物…?
『蒼也!!!早く手どけないと漬物臭くなるよ!!?』
「頭打ったのか?」
いやいや、打ってないよ。たしかに頭は痛いけども。なんかもっと痛くなってきたけども。
『ぁー…』
「頭痛むのか?」
『うーん…』
心配をかけたくないけど嘘をついても蒼也には通じないから曖昧に答えておいた。
蒼也が何も言わなくなったからとりあえず蒼也を凝視。すると手が伸びてきて…――
『蒼也?』
蒼也の綺麗な手が私の頭を撫でていた。
「寝ろ」
『…は??』
え、寝ろ?私今起きたばっかりなんだけど。
そうは思っていても撫でられていると眠くなってきた。こりゃ寝るな。寝る前にもう一度、
『ありがとう』
私はゆっくりと意識を手放した。
私が寝る直前、部屋に誰か入って来た気がした。