王龍×姫龍
『にい、ちゃん…っっ!』
「蓮愛!!?しっかりしろ!」
荒々しく呼吸をする私の背中を兄ちゃんがやさしくさする。
心配かけちゃ駄目だ。
『大丈夫…』
「大丈夫じゃないだろ!?」
駄目だ…。これ以上は喋れない。
呼吸を整えるために心を落ち着かせる。
途中、何度か思い返して呼吸が乱れたりしたけど、そのたびに兄ちゃんが背中をさすってくれた。
『もう、大丈夫』
「ほんとか??無理してない?」
小さく頷く。それを見た兄ちゃんは安堵の息を漏らす。
「何か飲んだほうがいいよ」
『…いらない』
普段通りの声が出せずに声が掠れる。兄ちゃんは少しは安心したようだけどまだ心配しているようだった。
「そっか。また何かあればすぐ言えよ?」
『うん』
「絶対だからな?じゃあはい、転がって」
私は幼稚園児か。
どうやら私は心の中でツッコミを入れれる程落ち着いたらしい。
私は素直に従って転がった。
「じゃあおやすみ」
『おやすみ。後…ありが、とう』
眠気と照れでありがとうがカタコトになった。
閉じていく瞼の向こうで兄ちゃんが微笑んでくれた気がした。