王龍×姫龍
鏡に映っていたのは学校では見る事のない紅蓮の瞳。
「桜義…」
その声を振り切るように私は立ち上がり皆の間をすり抜けて廊下を駆け抜けた。
気付いた時にはもう学校の外だった。学校抜け出しちゃった。
『…ははは』
乾いた笑いが零れる。
ほんと馬鹿だよ私。今まで何年ばれずにやってきたと思ってんの?いつも油断するなって言い聞かせてきたじゃん。
『ほんと、馬鹿』
無意識にでた言葉は白昼の空に虚しく消えた。
ぼふっ
家に帰ると制服のままベッドに倒れ込んだ。
この時間は兄ちゃんも大学で家には誰もいなくなる。それが今の私にとって唯一の救いだった。
…そういえばカラコン外れて床に落ちたままだったっけ。まぁいいや。
『はぁ…』
思わずため息が零れる。おっと幸せが逃げちまう。幸せcome back.
とりあえず寝よう。寝ちゃおう。起きたらどうするか考えるから。だからせめて今だけは、眠らせて。