琥珀色の誘惑 ―日本編―
王太子として国家と国民に尽くす姿もクローズアップされており、彼はああ見えて、かなりの人気者らしい。


そんな人気者のミシュアル王子には問題点がふたつ。


ひとつは日本人の母を持つこと。

もうひとつは……日本人の婚約者がいること。


前者は変更不可能だが、後者はその限りではない。



「すぐにマイ様との婚約を破棄し、一族の中から選ばれた娘と結婚するように。さもなくば廃太子もやむなし、と言うほど強く迫られました」

「ど、どうして? どうして、そうしなかったんですか?」


普通はそうするだろう。

愛し合い、将来を誓い合ったふたりならともかく。
ミシュアル王子は舞の姿を写真で知っていただけだ。舞に至っては、婚約の事実すら知らなかった。


ターヒルは言いよどんだが、覚悟を決めたように口を開いた。


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