琥珀色の誘惑 ―日本編―
その男性が立ち上がった時、光に髪が透けた。
彼の髪は黒ではなく焦げ茶だ。
黒に近い茶色は、舞に苦いビターチョコレートの味を思い出させた。
だがそんなことより――何より驚いたのは瞳の色である。
それは見事な金色に輝いていた!
神秘的な琥珀色の瞳に捉えられ、舞は息をするのも苦しい。
「舞、こちらはクアルン王国の王太子、シーク・ミシュアル・ビン・カイサル・アール・ハーリファ殿下であるぞ。もっとキッチリ挨拶をせんか!」
金色の瞳に見惚れてボーッとしたままの耳には、
「え? ミシュランの瓶が、貝と猿にあるって……何?」
「舞……お前というヤツは!」
頭ごなしに怒鳴ろうとした父を手で制し、その男性は口を開いた。
「私の名はミシュアルだ。アルと呼べばいい。言ってみなさい」
「ア、アル?」
「そうだ。忘れないように。いいね」
「……はい」
肌の色は健康的なオリーブ色だが、顔のバランスは完璧に日本人だ。
もちろん言葉も。でも名前から言ってこの人は……。
そこまで考えて、ふと、何かが引っ掛かった。
「おうたいし? それって王太子? まさか王子様ぁ!」
彼の髪は黒ではなく焦げ茶だ。
黒に近い茶色は、舞に苦いビターチョコレートの味を思い出させた。
だがそんなことより――何より驚いたのは瞳の色である。
それは見事な金色に輝いていた!
神秘的な琥珀色の瞳に捉えられ、舞は息をするのも苦しい。
「舞、こちらはクアルン王国の王太子、シーク・ミシュアル・ビン・カイサル・アール・ハーリファ殿下であるぞ。もっとキッチリ挨拶をせんか!」
金色の瞳に見惚れてボーッとしたままの耳には、
「え? ミシュランの瓶が、貝と猿にあるって……何?」
「舞……お前というヤツは!」
頭ごなしに怒鳴ろうとした父を手で制し、その男性は口を開いた。
「私の名はミシュアルだ。アルと呼べばいい。言ってみなさい」
「ア、アル?」
「そうだ。忘れないように。いいね」
「……はい」
肌の色は健康的なオリーブ色だが、顔のバランスは完璧に日本人だ。
もちろん言葉も。でも名前から言ってこの人は……。
そこまで考えて、ふと、何かが引っ掛かった。
「おうたいし? それって王太子? まさか王子様ぁ!」