琥珀色の誘惑 ―日本編―
二十七階で降りた時、見知った顔のSPが何人かいた。

彼らは顔を見合わせ、フロアは一瞬どよめいた。

そうしていると長い髪の男性が歩いて来た。ヤイーシュである。


舞はその西洋人を思わせる顔立ちに、思わず見惚れてしまった。身長は舞より高いがミシュアル王子ほどもないだろう。

実直そうなターヒルといい、目の前の男性といい、そしてミシュアル王子……。


(クアルンってイケメンの産地かも……)


などと呑気なことを思い浮かべ、心の緊張が解れるのを感じていた。


そんな舞にヤイーシュの鋭い声が届く。 


「女――フロントで何と告げるように言われたか、今一度繰り返せ」


 舞はドキドキしながら、ターヒルに言われたことを繰り返した。


「お前にそれを告げた男は、お前の為すべきことを説明したな?」

「は、はい」 

「いいだろう。こっちへ」


< 111 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop