琥珀色の誘惑 ―日本編―
『ヤイーシュ、貴様、この女の身体に触れたな』

『マ……イ? まさか……ミス・マイ・ツキセ』


その声はあまりのことに震えている。


ミシュアル王子はヤイーシュの許に歩み寄り、その手から短剣ジャンビーアを取り上げた。

ああよかった、と舞がホッとしたのも束の間。

なんと、王子自身がその短剣を抜いた!


反り返った銀色の刃が、シャンデリアの光を吸い込むように集めた。


『この女に手を上げたか? 身体に触れたか? 返事をしろ、ヤイーシュ』

『殿下……私はいつもと同じようにしようと』

『言い訳は聞かん。答えよっ!』


舞の目の前で、ミシュアル王子はヤイーシュに喉元に刃を突きつけた。


< 119 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop