琥珀色の誘惑 ―日本編―
「ヤイーシュ! その女性はミス・マイ・ツキセだ! 殿下が召された娼婦ではない! 全く――殿下もこのような時に日本人の娼婦など呼ばれずとも」



もちろん、ターヒルに悪気などない。

舞とは別にホテルに戻り、このような事態でもエレベーター前に立つSPから話を聞いたのだ。


王子が日本人娼婦を呼び寄せたこと。
そして現れた舞を、なんとヤイーシュが自室に連れ込んでしまった、と。

SPらはそれが側近中の側近、ヤイーシュの勘違いか策略か判断ができずに迷っていることも。


ヤイーシュは、決して策略家ではない。長い付き合いのターヒルには判る。

第一、舞にホテルを教えたのはターヒルだ。ヤイーシュがそれを知るはずはない。


舞を娼婦だと思い込んでいるなら、いつものように裸にして純潔でないことを確認しようとするはずだ。

そんなことをしてしまえば、恐ろしい事態に陥るだろう。


何が何でも止めなくては。ターヒルはその一念であった。


そして、ヤイーシュの部屋に飛び込み、彼が目にしたのは……。


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