琥珀色の誘惑 ―日本編―
遼の短い声に、舞はコソッとカーテンの隙間から外を見てみる。

すると、そこには何処から湧き出したのか、わらわらと人が集まっているではないか。


「な、俺らってどうなるわけ?」

「判んないわよっ!」

「舞ちゃん! 舞ちゃん!」


後方から母の興奮した声が聞こえ、駆けつけると電話の子機を突き出された。


「はい、舞ちゃん。王子様のラブコールよ!」


最初に鳴り出した電話の主は、ミシュアル王子だったようだ。舞は逃げる訳にもいかず、子機を受け取った。


「……はい」

「今から迎えに行く。用意しておけ」

「今からって、これって何? 一体どういう……」


プツッ……ツーツーツー。

そんな虚しい音が舞に耳に広がる。

舞の胸に怒りが沸き立つ中、ミシュアル王子は信じられない手段で迎えに来たのだった。   


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