琥珀色の誘惑 ―日本編―
唖然とする舞を、数人の警察官が取り囲むように後退させる。

口の動きは「お下がりください」と言っているようだが何も聞こえない。

しかもヘリからの爆風で、髪も梳かしただけ無駄、という状態である。


だが髪型どころの問題ではない。

舞の目の前に爆音を轟かせヘリが下りて来る。


(何? 何なの? 何で都内の公園にジェットヘリが着陸してるのっ!?)


法的に許可を取れば不可能ではないらしいが……少なくとも、昨日の今日で取れる許可ではないという。


ヘリのドアが開いた。

すぐに飛び立つ予定なのかプロペラは回転したままだ。ということは……凄い風である。

その中を、ミシュアル王子は降り立ち、舞に向かって歩いてくる。

白い民族衣装が風に靡き、まるで映画のワンシーンだ。異世界に迷い込んだ錯覚に囚われ、舞は瞬きすら忘れていた。


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