琥珀色の誘惑 ―日本編―
思わず頷き掛けたけど……。


「ちょっと待って! み、みんな見てるからダメッ」

「口づけねば……誓いにならぬ」

「そんなぁ」


ミシュアル王子はピッと指を一本立てると、アラビア語で命令した。


『全員、窓の方を向き、目を閉じよ。良いと言うまで開けてはならぬ』


舞と操縦士だけ判らない。
でも、操縦士に目を閉じられたら困るので、ちょうどいいかも知れない。


「舞、お前も目を閉じなさい」


琥珀色の中に、自分の姿を見つけた時、舞は目を瞑った。

小さく、本当に小さな声で「舞、愛している」とミシュアル王子の囁きが聞こえ……。

熱い吐息と共にふたりの唇が重なった。


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