琥珀色の誘惑 ―日本編―
それはこれまでとは違う、生涯消えぬ愛を誓うキス。

少し顔を上げて手を伸ばせば、王子の首に抱きつくことができる。

彼のキスを受けるのにちょうど良い高さ……舞は初めて長身に生んでくれた両親に感謝した。



「……ねぇアル、もうお父さんやお母さんには会えないの? ちゃんとした挨拶も」

「心配は無用だ。クアルンでの結婚式を済ませ、一連の儀式が終わればハネムーンは日本が良かろう? 日本式の衣装を着て披露宴を行えばよい。家族と女の友人に会うことは許可しよう」


言い方に多少の尊大さはあるものの、舞は感激してミシュアル王子に飛びついた。


「ありがとう! アル、大好きよ!」


誓いより深いキスを、ヘリが成田に着くまでふたりは繰り返し……。

ターヒルたちはその間、窓側を向き、目を閉じたままであった。


この日、ふたりの運命は重なり――舞は砂漠の国へと飛び立った。




                 日本編~fin~




――王国編に続く――


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