琥珀色の誘惑 ―日本編―
だが、面長で印象のきつい顔。
ショートだとハリネズミのようになってしまう量の多い直毛。
おまけに、いかり肩と、バストと呼ぶより胸囲というほうがピッタリの胸板に大きな骨盤で妙に安定している腰。

どれもこれも、コンプレックスばかりだ。

身長だけでモデルと呼ばれても……。


その証拠に、最初こそチヤホヤしてくれた男子も、時間が経つと舞は無視である。


今日の合コンは、舞の“バースデー記念初合コン”の名目で桃子が計画したものだった。

男女四人ずつ、女子は全員聖麗女学院大学の学生。男子は都内の有名私立大学医学部……という触れ込みだ。


主役のはずが……舞は自分の前に置かれたバースデーケーキを突きつつ、ひとり蚊帳の外であった。


そしてトイレに立った時、舞は駄目押しの話を聞いてしまう。



「デッケー女。顔が可愛くてもアレじゃあなぁ」

「でも、バージンだってよ。酔わせていただいちまおうぜ」

「でもなぁ、コイツがびびっちまって。ダメじゃん」

「言えてる」
 

男子トイレから聞こえたのは、今日の合コンに来ている学生ふたり。

可笑しそうにケタケタと声を上げて哂っていた。


(泣くもんか! 絶対泣いたりしない!)


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