琥珀色の誘惑 ―日本編―
「……どうって?」
「夫人たって、一番目から四番目までいるんだろ? あの王子の母親だって第四夫人って言われてたじゃん。姉貴は何番目なわけ?」
遼の言葉に舞はショックを覚えていた。
そうだった。
ムスリムと呼ばれるイスラム教徒の国では、妻は四人まで娶れる。
法的には全く同格の“正妻”を、だ。
もちろん細かく条件は決められていて、不公平にならないようにしないと駄目らしい。
日常的な生活は元より、旅行にも同じように連れて行き、贈り物も均等にして、夜の生活も回数を揃えるという。
イスラム国家の多くは戦争が相次ぎ……そうなれば当然、若い男性の数が足りなくなる。
未婚者増加に伴う少子化を防ぐためのシステムらしいが、実際には何人も妻を持つ人は少ないらしい。
確かに、結婚生活にこんなに気を使ったんじゃ、妻が何人もいてラッキーというより、ストレスのほうが大きい気がする。
でも、ミシュアル王子はどうだろう?
舞の他に三人の妻がいるなんて、いくら平等でもそんなのは絶対に嫌だ。
しかも、愛人がハーレムにどっさり居たら?
不意に王子の言葉を思い出した――『私は愛の手ほどきは嫌いではない』。
(ど、どれだけ一杯の女に手ほどきしてきたのよ、あのエロ王子! 今度会ったら問い質してやる!)
ところが――その日から約一週間、舞がミシュアル王子の姿を見ることはなかった。
「夫人たって、一番目から四番目までいるんだろ? あの王子の母親だって第四夫人って言われてたじゃん。姉貴は何番目なわけ?」
遼の言葉に舞はショックを覚えていた。
そうだった。
ムスリムと呼ばれるイスラム教徒の国では、妻は四人まで娶れる。
法的には全く同格の“正妻”を、だ。
もちろん細かく条件は決められていて、不公平にならないようにしないと駄目らしい。
日常的な生活は元より、旅行にも同じように連れて行き、贈り物も均等にして、夜の生活も回数を揃えるという。
イスラム国家の多くは戦争が相次ぎ……そうなれば当然、若い男性の数が足りなくなる。
未婚者増加に伴う少子化を防ぐためのシステムらしいが、実際には何人も妻を持つ人は少ないらしい。
確かに、結婚生活にこんなに気を使ったんじゃ、妻が何人もいてラッキーというより、ストレスのほうが大きい気がする。
でも、ミシュアル王子はどうだろう?
舞の他に三人の妻がいるなんて、いくら平等でもそんなのは絶対に嫌だ。
しかも、愛人がハーレムにどっさり居たら?
不意に王子の言葉を思い出した――『私は愛の手ほどきは嫌いではない』。
(ど、どれだけ一杯の女に手ほどきしてきたのよ、あのエロ王子! 今度会ったら問い質してやる!)
ところが――その日から約一週間、舞がミシュアル王子の姿を見ることはなかった。