琥珀色の誘惑 ―日本編―
(9)幻の婚約者
「じゃあ……舞ってプリンセスになっちゃうの?」
衝撃的なキスから一週間が過ぎた。
舞は今回の一件を親友の桃子にだけコッソリ告白したのである。
それまでは、一応沈黙を守っていた。
でも、ミシュアル王子からはなしのつぶてだ。乙女の唇を奪っておいて、とんでもない奴である。
何があったのか舞には判らない。
あれっきり、両親もミシュアル王子のことを口にしようとはしないのだ。
それをわざわざ、舞から話題にするのは悔しいし馬鹿らしい。
日が経つごとに、舞の中では単なるおとぎ話のような気がし始めていた。
大学近くのオープンカフェに座り、ふたりは話している。
円形テーブルの周りには椅子が四脚、それが五~六組置かれていた。
客は八割程度が女性で、ほとんどが同じ女子大の学生だ。
男子学生の姿もチラホラ見える。
おそらくは、彼女らのボーイフレンドか友人ばかりであろう。
「判んないけどね。何かの間違いだったのかも」
「間違いで家まで来る?」
桃子には砂漠の国の王子様が家まで来たことは話した。
クアルン王国のパンフも見せたし、妙な検査を受けさせられたことも……怒りに任せてぶちまけた。
その後、ジャガーで家まで送って貰ったことも。
けれど、キスのことは話さなかった。
舞は、そのことだけは言いたくなかったのである。
衝撃的なキスから一週間が過ぎた。
舞は今回の一件を親友の桃子にだけコッソリ告白したのである。
それまでは、一応沈黙を守っていた。
でも、ミシュアル王子からはなしのつぶてだ。乙女の唇を奪っておいて、とんでもない奴である。
何があったのか舞には判らない。
あれっきり、両親もミシュアル王子のことを口にしようとはしないのだ。
それをわざわざ、舞から話題にするのは悔しいし馬鹿らしい。
日が経つごとに、舞の中では単なるおとぎ話のような気がし始めていた。
大学近くのオープンカフェに座り、ふたりは話している。
円形テーブルの周りには椅子が四脚、それが五~六組置かれていた。
客は八割程度が女性で、ほとんどが同じ女子大の学生だ。
男子学生の姿もチラホラ見える。
おそらくは、彼女らのボーイフレンドか友人ばかりであろう。
「判んないけどね。何かの間違いだったのかも」
「間違いで家まで来る?」
桃子には砂漠の国の王子様が家まで来たことは話した。
クアルン王国のパンフも見せたし、妙な検査を受けさせられたことも……怒りに任せてぶちまけた。
その後、ジャガーで家まで送って貰ったことも。
けれど、キスのことは話さなかった。
舞は、そのことだけは言いたくなかったのである。