琥珀色の誘惑 ―日本編―
「舞の隣に座るなっ! この無礼者めが!」
ミシュアル王子は血相を変えて恫喝した。
自身の椅子を蹴るように立ち上がり、男子学生から椅子を奪い取る。
「ちょ……ちょっと!? 何してるんですか?」
「お前もお前だ。男を隣に座らせるなど、言語道断だ!」
「は? そんな……席くらい」
「我が国では、女は人前で夫の隣以外に座ってはならない」
憤然と言い返す王子に、舞は声を潜めて反論した。
「ここは日本です。それに、夫って」
「ここが何処であれ、私は母国の教義に基づいて行動する。何の制約も受けない」
なんという自尊心の高さだろう。
舞には王子のこだわりが理解できず、無言のまま横を向いた。
母国なんて、日本のことをそんな風に考えたこともない。
生まれながらの王族ゆえか。
それとも国民性というものだろうか?
その場にいた全員が呆然としていた。
ミシュアル王子は血相を変えて恫喝した。
自身の椅子を蹴るように立ち上がり、男子学生から椅子を奪い取る。
「ちょ……ちょっと!? 何してるんですか?」
「お前もお前だ。男を隣に座らせるなど、言語道断だ!」
「は? そんな……席くらい」
「我が国では、女は人前で夫の隣以外に座ってはならない」
憤然と言い返す王子に、舞は声を潜めて反論した。
「ここは日本です。それに、夫って」
「ここが何処であれ、私は母国の教義に基づいて行動する。何の制約も受けない」
なんという自尊心の高さだろう。
舞には王子のこだわりが理解できず、無言のまま横を向いた。
母国なんて、日本のことをそんな風に考えたこともない。
生まれながらの王族ゆえか。
それとも国民性というものだろうか?
その場にいた全員が呆然としていた。