琥珀色の誘惑 ―日本編―
舞は警告をあっさり無視して、プイと横を向いた。


桃子は今にも倒れそうなほど青褪めている。


「ミス・ツキセ。言う通りにしてください」


そう言いながら……見るからにアラブ系の浅黒い肌をしたSPは、舞の腕を掴もうとした。
どうやら王子の近くから引き離したいようだ。

だが、その手が舞に触れる寸前、ミシュアル王子によって掴み取られていた。

そのまま、彼は舞とSPの間に立ち塞がる。

再びアラビア語が飛び交った。
今度はさっきより一段と緊張した声色だ。最後に、ミシュアル王子が何事か短く叫んだ直後、SPらは一斉に膝を折った。 


「舞……二度と私に手を上げるな。二度と、だ。次はないと思え」

「命令しないで。わたしを思い通りにできるなんて思わないで! わたしは……」

「お前は私のものだ! これは絶対だ。舞、お前の望みは何だ? 私は何でも叶えられる。だから、一切の不服は聞かない」


舞はミシュアル王子の言葉にブチ切れた。


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