琥珀色の誘惑 ―日本編―
(13)プロポーズの理由
「この馬鹿娘がっ!」


大学近くのオープンカフェでミシュアル王子を引っ叩いたその夜、父は戻るなり舞を怒鳴りつけた。

どうやら、クアルン大使館から厳重抗議があったらしい。


あの場は庇うような素振りを見せながら、裏で父に文句を言うなんて……。

そう思うと舞の怒りはどうにも収まらない。



第一、あれだけの騒動を引き起こして、明日からどうやって大学に通えばいいのだろう。


『ちょっと月瀬さん! あの大きな男の人は誰?』

『引き連れてた黒服の人たちって外国人よね? 一体何者っ!?』

『病院の検査って……本当?』


……とまあ、周囲から質問攻めにあった。

その中に答えられる質問など一つもなく。
舞は具合の悪いフリをして、桃子に付き添われるように帰ってきたのだ。


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