琥珀色の誘惑 ―日本編―
現代にも、圧倒的な身分の差というのもが存在する。

民主主義云々は関係なく、人類が皆平等ではありえないのだ。
舞がどれだけあがいても、この状況で結婚を断ることができるのはミシュアル王子本人しかいない。

ちょっとは結婚してもいいかな、と思ったときはある。

でも、結婚の理由が『純潔だから』なんて冗談じゃない。
違ったら、妻にはするけど尊敬には値しないってあんまりな言い方だ。

女の価値は経験の有無じゃない。

これがもし、ごく普通のおとぎ話に出てくる白馬に乗った西洋風の王子様なら、こんな過激なことは言わないだろう。

確かにミシュアル王子は素晴らしい容姿の持ち主だ。
舞にとって理想そのものである。

でも、自分以外に三人の妻を持つ人を、夫とは呼べない。



「あの、さ。はじめに言っとくけど……驚くなよな」


昼間は危うく拳銃を突きつけられそうになったのだ。
あれ以上に驚く事態はないだろう。


だが数分後……舞はシークの破天荒ぶりを思い知る。


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