琥珀色の誘惑 ―日本編―
(16)運命の相手
なんと、ミシュアル王子は舞を抱き上げ、信じられない言葉を口にしたのだ。
「従えぬと言うなら……お前をこの場で妻にする」
そう言うと、大股で奥の部屋に向かって歩き始めた。
(う……うそ、嘘よね?)
舞は呆気に取られて言葉にならない。
その時、ターヒルが後ろから日本語で声を上げた。
「殿下……どうぞ、落ち着かれて」
「私は冷静だ! 舞は正式な婚約者である。妻にしてこのまま国に連れて帰る。準備をしろ!」
「それは……つい先日、隣国の王子がアメリカ人女性を無理矢理妻にして、国際社会で問題視されたばかりです」
ターヒルの浅黒い顔は変化が良く判らない。だが、灰色の瞳が揺れ、彼の困惑を映していた。
そんなターヒルを見ているだけで、舞も血の気が引く気分だ。
直後、ミシュアル王子はアラビア語で何かを叫んだ。
そしてそれを聞いた瞬間、ターヒルは膝を折り、床に手をついたのだった。
「な、なに? 何を言ったの?」
「“次期王たる私の命令が聞けぬのか”そう言ったのだ」
「従えぬと言うなら……お前をこの場で妻にする」
そう言うと、大股で奥の部屋に向かって歩き始めた。
(う……うそ、嘘よね?)
舞は呆気に取られて言葉にならない。
その時、ターヒルが後ろから日本語で声を上げた。
「殿下……どうぞ、落ち着かれて」
「私は冷静だ! 舞は正式な婚約者である。妻にしてこのまま国に連れて帰る。準備をしろ!」
「それは……つい先日、隣国の王子がアメリカ人女性を無理矢理妻にして、国際社会で問題視されたばかりです」
ターヒルの浅黒い顔は変化が良く判らない。だが、灰色の瞳が揺れ、彼の困惑を映していた。
そんなターヒルを見ているだけで、舞も血の気が引く気分だ。
直後、ミシュアル王子はアラビア語で何かを叫んだ。
そしてそれを聞いた瞬間、ターヒルは膝を折り、床に手をついたのだった。
「な、なに? 何を言ったの?」
「“次期王たる私の命令が聞けぬのか”そう言ったのだ」