琥珀色の誘惑 ―日本編―
図星だ。

舞を“ちょうどいい”と言って、女の子扱いしてくれたのはアルだけだった。


「それに、宗教とか国によって表現方法が違うんじゃないの? でも、人を愛する心は同じなんじゃない?」


トクン、と舞の胸が鳴った。


あの言葉が、ミシュアル王子にとってどれほどの重みを持つ「愛している」なのか、舞は知らない。

そのことに思い当たった時、舞の胸は続けて、トクン……トクンと鼓動を打った。


「舞に叩かれてサングラスが外れた時、アンバーの瞳に映っていたのは舞だけだったと思う」

「……」


何か判らない、でも、どこかで間違ったのかも知れない。

舞の胸に芽生えた感情は、後悔となり押し寄せる。

そしてそれは、舞の心の真ん中に消えない琥珀色の光が灯った瞬間だった。


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