恋愛音痴

梅雨.






優しい風が
吹いていた季節はもう変わり

じめじめした雨が続いていた
こんな季節だと
髪のアイロンも意味ないし
本当に萎える




学校が終わると当たり前のように
亮介の家でたまっていた

雨が嫌いなあたしは
亮介の家から1人早く解散した

みんなはまだ
亮介の家にいるみたいだけど
あたしははやくお風呂に入りたい



夜の12時頃
やっと雨がやんでくれたから
あたしは亮介の家をでた

そのまま少し離れた
駅に向かう途中
駅の近くのコンビニに寄った

欲しいものを買って店をでると
何台ものバイクがたまっていた



「君可愛いね〜!
 一緒に遊ぶか〜?」


バイクに寝転がっていた
1人の男が声をかけてきた

あたしは聞こえないふりして
横を通り過ぎる


「その制服紫原だよね?
 蓮紅とか知ってる?」

『…お前、だれ?』


蓮紅の名前に反応した身体
いつの間にか
あたしは相手を睨んでいた



「もしかして蓮紅の彼女かあ〜?」

「こんな可愛い彼女いたのか?」

「蓮紅の奴ずりーよな(笑)」



周りにいた人までも近付いてきて
ニヤニヤしながら見下ろされている


『蓮紅の彼女じゃないけど?』


最初に話しかけてきた男の顔を
よくよくみると
見覚えがあって下を向いた


「なんか見覚えある顔だな…
 名前なんての?」

『………琉希だったりして』



あたしは小さい声で呟いた
周りが一瞬で静かになった

やばい…なんかやばい、
あたしは直感でそう思った





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