恋愛音痴




『いってきます』


誰もいない家から出る


駅から電車にのって一時間
やっとついたこの場所は
セイタがいるところ


『セイタ…?琉希だよ?
 今日は晴れてたから
 電車できちゃったよ(笑)
 ラミが後からケーキもってくるって、
 一緒に食べよー?』

「…スースースー」


返事はない
セイタの呼吸が聞こえるだけ
腕にはチューブが繋がっている


「セイタ…」


こうなってしまったのは
あたしが入学する1ヶ月前

パパとママをひき逃げした人を
バイクで追いかけていた時
いきなり急ブレーキした
犯人の車に突っ込んで
鎖骨の骨を折り意識不明の重体

パパとママのために…
セイタは偉いよ、


パパとママは引かれて即死だった

人通りが多い道だったから
目撃者もたくさんいて
向こうが全部悪いってなった

相手は車の中では
カップルが喧嘩していて
運転に集中できてなかったらしい
あたしの恋愛音痴には
この事故の影響もあるかもしれない
カップルを見ると
羨ましいとも思うけど
事故も思い出す



神様は不公平だ
あたしの家族ばっかり。




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