恋愛音痴
「あ!俺等集会あるじゃん!!」
思い出したように亮介が言うと
みんな慌てて立ち上がり
手を振りながら急ぎ足で
集会に向かっていった
「いてらー」と少し寂しそうな顔で
悠生を見送る紗菜は本当に彼女の顔
そんな紗菜を見て
好きな人と付き合える紗菜を
あたしは羨ましく思ったり(笑)
「…琉希、はやくしないと
とられちゃうに?」
じーっと見つめるあたしの視線に
気付いたのか気付かないのか
紗菜は意味深な顔であたしに呟いた
『え?』という顔をしたあたしに
紗菜はこうゆった
「好きなんでしょ、蓮紅のこと」
紗菜は笑顔で何度も頷いていた
意味が分からないあたしを
よそに紗菜は話し続けた
「何年一緒にいると思ってんの
琉希は蓮紅に恋してる」
『はっ!?紗菜、なにゆって…
「蓮紅と話してる時の
琉希幸せそうだもんっっ!」
あたしの否定を遮って続ける紗菜
その勢いにあたしは黙ってしまった
『ないない!蓮紅は連れ(笑)』
あはは!と笑ってごまかす
恋愛なんてできない
カップルなんて…
しかも蓮紅なんて
ありえないありえない
そう自分に言い聞かせた