恋愛音痴
『蓮紅、かあー…』
お風呂に入りながらふっと
数日前の紗菜とした会話を
思い出していた
確かに蓮紅はかっこいい
学校にファンクラブあるほどだし
告白されてる現場も
何回も目撃したことがある
でもいじわるだし
馬鹿にしてくるし…
…恋愛関係じゃないよ、きっと
あんなこと紗菜が言うから
意識しちゃうんだよ、
うん、そうだよ、
恋愛なんてできないんだから
あたしには、
恋愛なんてむいてないし
相手傷つけるだけだし
傷つけられるだけだし
『やば、のぼせる…』
あたしは考えていることを
もみ消すように
浴槽から立ち上がった
『絶対ありえない…』
そう言い聞かせるけど
頭の中は蓮紅でたくさんだった