恋愛音痴






「あっれぇ?亮介〜?」



ギャルキャルした女が
通り過ぎたと思ったら戻ってきた

黒い肌にヤマンバメイク
背負っているスクールバックには
キティちゃんやミッキー、
ヘアピンやシュシュ、
たくさんジャラジャラつけて
いかにもチャラチャラしてる



「あぁ、椿か」

「この子が琉希ちゃんけえ〜?
 亮介がいつも言ってる子お?」


あたしの顔をまじまじみながら
亮介に視線を移した

顔が近づいたときに
におったどきつい香水の匂い
暑いこの時期にこんなきつい
なんか気持ち悪くなった

無意識に顔をしかめるあたし


「キャハハ!!
 んまぁ今から遊んでくるからあ〜
 またあたしの蓮紅の相談のってよ?」

「あぁ、わかったよ」


“あたしの蓮紅”…?
あたしの、ってどういう意味?
もしかして蓮紅の彼女なの?

そう考えると胸が苦しくなった


「んぢゃあ、ばいにゃ〜ん」


手を軽くふりながら
ギャルキャルした女は
あっという間に歩いていった

テンション高い奴、
話についていけない、
一体なんなの?



香水の香りが鼻にまとわりついて
それと同時に
あの言葉も頭をぐるぐる回る

“あたしの蓮紅”
……胸が苦しいよ





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