孤独な美少女
「あ゙ー…ねみぃ…」
昨日帰ったの3時過ぎだったからな…。
今は学校へ向かってる途中。
もちろん、ウィッグは着用済みだ。
ボケーっとしながら歩いていると、公園に差し掛かったところで、中から声が聞こえてきた。
「──っや──やめ─っ」
ピクッ
今の…女の声か…?
きっと男に連れてかれたんだろう。
無意識に、拳に力が入っていた。
どうしようか。今の格好で暴れてバレても面倒だ。でも女の子をそのままにはできない。
……仕方ない。
俺は地面を蹴った。
「──なぁ、その子放してやれよ?」
ニヤニヤしてる一人に声をかける。
あーあ、女の子かなり怖がってんじゃん。
「ああ?お前に何の関係があんだよ?」
「関係なんてねえけど。その子、嫌がってるから」
「はあ?ダサ男がでしゃばんな──っ!」
その男が“ダサ男”の言葉を出したとき、俺はソイツの鳩尾に一発入れた。
てめえらに言われる筋合いはねえよ。
「くそっ!!おりゃぁあああ!!」
「はあ…叫ぶなっての…」
耳障り、だろ?
ドガッ、パサ──ッ
あ、メガネが落ちた。いけね。ま、つけんのは後でいい。取り合えずはこの子だ。