孤独な美少女
「…大丈夫?」
なるべく優しく、問い掛ける。
今、優しくしてやんねえと、この子は恐怖で壊れてしまう。
───未遂で、ヨカッタ…。
「は、い…。あの…ありがとう…ございました…」
「別に、たいしたことしてねえよ。これからは気をつけろよ?」
「はい…」
ボソボソと喋っているが、声には生気が感じられない。
未遂だが、かなり危なかった。ワイシャツもはだけて、下着が見えてる。
……あ、俺今男じゃん。ちょっと男に見られんのは嫌だよな。
「あのさ。君、安西じゃねえよな?」
「違いますけど…」
「今から言うこと、誰にも言うなよ?」
「…?」
目の前の彼女は頭にハテナを浮かべている。そりゃそうか。
「…“あたし”女だから、安心してね」
「……え?」
「ちょっときて」
周りから見えないところに来た。
そこでウィッグを外して見せた。
案の定目を丸くする彼女。
「…え、」
「…ね?女でしょ。高校どこ?送ってってやるよ」
「でも…」
「いいから。また同じ目にはあいたくないでしょ?男の格好でよければだけど」
無茶苦茶だったかな?
しかし彼女は笑顔で「お願いします」と言った。良かった。笑えてる。