孤独な美少女
うぜー。キャーキャーうるせえな。
「じゃ、俺行くな」
「うん。あ!」
歩き出した俺を引き止め、何やらメモのようなものを渡してきた。
アドレス…?
「よかったらメアドとケー番。メール待ってる!」
それだけ言って梨花は校舎の方へ走って行った。
メール、か。
俺は適当にメールを打って梨花に送信した。
《九条優里。あたしのことは言わないでね。次からは優哉でメールするから登録も優哉でしておいて。あと、このメールはすぐ消して》
口止めもしっかりしておいた。
さて、また変な男に引っ掛かんねえと良いけどな。
「あ、ヤベ…学校忘れてた」
ケータイの時計を見て呟く。
俺は少しだけ急ぎ気味に学校へ向かった。
ガヤガヤと煩い教室に入れば一瞬静かになった。
とゆうか、俺に全員の視線が向けられた。
今はちょうど授業の合間の休み時間だったらしく、先生にガミガミ怒られることはなかった。
「ねぇ、アイツ今度は遅刻だよ」
「つーか相変わらずダッサー!」
「マジで不良気取りなんじゃね?」
「嘘、キモい!無理だっつーの!!」
ギャハハハ、爆笑する色気の“い”の字も感じられないパンダなケバい女達が俺をとやかく言う。
うるせえ奴らだな。
何で『遅刻、サボり=不良』になるわけ?
言い返したい。しかし、今俺は究極にダサい。
せめてメガネ取りてえよ…。
なんて一人で考えていると、教室の後ろのドアが勢いよく開いた。