孤独な美少女




「さっき、蝶華には優さんが必要って言いましたけど」

「え?」

「俺にも優さんは必要です。かなり」

「…っ!」




真剣な眼差しで言ったコウに、あたしは感情を抑えて俯くことしか出来なかった。


なんて情けないんだ。


でも、嬉しかった。あたしには勿体ないよ、その言葉。


だけどあたしは心のどこかでその言葉を求めていたのかもしれない。




『ここがお前の居場所だ』

『俺にはお前が必要なんだよ』




“あの人”のくれたその言葉を。




「優さん…優さん」

「っえ?あ、ごめん」

「いえ。そういえば“琥珀”と、親しそうでしたね」

「……琥珀?」




琥珀って、何?


あたしが聞き返すと、コウは「え?」と声を漏らし、あっけらかんとしていた。




「あの…知らないんですか?」

「知らない。何それ。貴重なもの?」




琥珀って名前なくらいだし。


しかし、コウはあたしの言葉にため息を漏らした。




「じゃ、言い方変えます。“佐賀野”達と親しそうですね」

「…佐賀野?別に親しくない。勝手に自己紹介された」

「フッ…そうですか。因みにその佐賀野達が、琥珀っていう関東No.1の暴走族ですよ。では、授業が始まるので行きますね」







コウは目を細めて笑いながら、爆弾を投げて行ったのだ。


関東No.1…暴走族…。


う、嘘でしょ…。



あたしはまた、そっちの世界に関わってしまったの…?






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