孤独な美少女
「……(早く呼ばないかなっ)」
「……(あれ、名前なんだっけ)」
「……(ん?ちょ、何勿体振ってんの!?)」
「……(ヤベー、思い出せね)」
暫く無言が続き、ついに何も言わない俺に痺れを切らした藤堂が叫んだ。
「早く言ってよ!!!」
「わ、わりぃ。名前…何だっけ」
「……」
おっと、無言で睨まれた。
そこまで怖くねえぞ、お前がやると。
「九条、ソイツは魁斗だ」
「ああ!サンキュー佐賀野」
「お、おぉ」
今だにショックを受けて、しゃがみ込んでいる藤堂、じゃなくて魁斗。
そこまでか!?
「悪かったよ、“魁斗”」
「……だって、」
「……“藤堂”」
「いや、許すっ!許すから!」
「(コイツぜってーアホ)」
意外と人の言葉聞いてんのな。
「…ていうわけで、倉庫来てもらえますね?」
「え、ちょ、どういうわけだよ。つか痛いって!」
真辺が魁斗が離した俺の腕を掴み、引っ張った。
だから意外と力強いって。
「マジやだ、俺行きたくねえ」
「早く来い」
「っち…じゃあ約束しろ。今日だけだ」
そう言って佐賀野を睨めば、逆に佐賀野には笑われた。
ムカつく…。
「分かったよ(嘘だけど)」
「フンッ」