孤独な美少女
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「はぁ…」
「なんだ」
「別に…」
今、俺の目の前にあるのはデカイ倉庫。
自然とため息も出てきちゃうわけで。
そんな俺の様子に、佐賀野達は首を傾げる。
ま、お前らには分かんねえよ。
「入るよー!」
藤…っ魁斗はスキップしながら中に入って行った。お気楽な奴…。
マジでアイツ、女じゃねえのか?俺より女らしい気がすんだけど…。
魁斗の後に続いて次々に中に入って行く。
俺入りづれえ…。
案の定、俺の姿に気づいた下っ端達は驚いているようだった。
“な、何で!?”
“つか誰あの人”
“…超地味じゃね?”
ヒソヒソと喋りはじめる下っ端達。
……全部聞こえてんだけど。
「……地味で悪かったな」
「何か言いました?」
「いや、」
呟くように言ったつもりだったが、どうやら真辺には聞こえていたみたいだった。
何を言ったのかは聞き取れなかったみてえだけどな。
奥にある階段を上っていると、昔(といってもつい最近だが)の記憶が蘇ってきた。
蝶華の倉庫も確かこんなんだったな…。
まぁ、ここよりも大きいけど。
予想が正しければ、今向かってるの───
「着きましたよ」
───やっぱり、“この部屋”だった。
皆、中に入っていく…が、俺は中々入れないでいた。
「入らないん?」
「だって、入れねえだろ。“幹部室”なんて」
そう、今皆がいるのは幹部室っていう部屋。
この部屋は名前の通り、幹部しか入れない部屋。