孤独な美少女
「……もしもし、」
『優さん!?』
電話の向こうからかなり焦っているようなコウの声がする。
今日、なんかあったっけか。
「どうした?」
『どうしたって…。俺…メールたくさんしたんですけど!』
『心配するじゃないですか…』と嘆くコウにあたしはただ首を傾げる。
メール…?
そう思いながら暫く黙っていると、さっきの焦った声から一変、今度は呆れたようにコウは言った。
『優さん、メール気づいていませんね?』
「…え?や、だって今起きたし」
『はい!?ちゃんと学校来て下さいよ!今日は…大事な話し合いがあるんですよ!』
大声で喋るコウに、あたしは思わず耳を塞ぐ。
うるせえの、変わってないな。
「だって起きたらこの時間だし。で?何、その大事な話し合いって」
『あ、そうでした。今日は体育祭の出場種目を決めるんですよ。2時間目に』
体育祭の出場種目?
え、それだけ?それだけであたしはコウに電話とメールされたのか?
『優さんの担任、体育会系じゃないですか。体育祭には熱くなるんですよ、あの人。で、この話し合いと当日に欠席した奴は無理矢理留年させようとするんです』
「え゙…。マジかよ…。分かった。今から行く」
『頑張ってくださいね』
そうコウが言ったのと同時に電話を切る。
ちっ、なんて面倒な担任なんだ。
そんな奴の生徒とか最悪なんだけど。
いっそのことコウが担任だったらいいのによ。
仕方なくあたしは学校へ行く用意を済ませて寮を出た。
メガネは外して───。