この男、偽装カレシにつき
あの日。
入試を受けた帰り、高校の最寄り駅のホームで。
イケメンだな、なんて何気なく見惚れていた男子高校生がベンチに紙袋を忘れたまま電車に乗り込むのに気付いた。
私の家とは反対方面だったけど、そんなこと気にもせずその紙袋を掴んで、慌てて彼を追いかけた、ーーーところまでは良かったんだけれど。
飛び乗ろうとした瞬間、電車の扉に膝を挟まれてしまったのだ。
いや、冗談抜きで。
ホームで片足を上げた状態で立ち尽くす私はマヌケそのもので。
一緒にいた友達の純ちゃんが私の背後で固まってたのが、今でも頭から離れない。
このまま電車が発車しちゃったら、大怪我はもちろん下手すりゃ死んじゃうんじゃないの?
こんなマヌケな格好で一生を終えるなんて、絶対にイヤーっっ!!
なんて顔面蒼白になったとき、
「だ、大丈夫?」
扉を開けて助けてくれたのがその男子高校生で、あのグレーのマフラーを身に纏った麗しの大野センパイだったってわけ。
「あのときは恥ずかしくてあまり顔を見れなくて。
忘れ物を渡したら、次の駅で速攻下車したからろくに話もできなかったけど。
あれから一日だってセンパイを忘れたことはありませんでした」
入試を受けた帰り、高校の最寄り駅のホームで。
イケメンだな、なんて何気なく見惚れていた男子高校生がベンチに紙袋を忘れたまま電車に乗り込むのに気付いた。
私の家とは反対方面だったけど、そんなこと気にもせずその紙袋を掴んで、慌てて彼を追いかけた、ーーーところまでは良かったんだけれど。
飛び乗ろうとした瞬間、電車の扉に膝を挟まれてしまったのだ。
いや、冗談抜きで。
ホームで片足を上げた状態で立ち尽くす私はマヌケそのもので。
一緒にいた友達の純ちゃんが私の背後で固まってたのが、今でも頭から離れない。
このまま電車が発車しちゃったら、大怪我はもちろん下手すりゃ死んじゃうんじゃないの?
こんなマヌケな格好で一生を終えるなんて、絶対にイヤーっっ!!
なんて顔面蒼白になったとき、
「だ、大丈夫?」
扉を開けて助けてくれたのがその男子高校生で、あのグレーのマフラーを身に纏った麗しの大野センパイだったってわけ。
「あのときは恥ずかしくてあまり顔を見れなくて。
忘れ物を渡したら、次の駅で速攻下車したからろくに話もできなかったけど。
あれから一日だってセンパイを忘れたことはありませんでした」