この男、偽装カレシにつき
「それ以来1週間ほど高校に通い詰めて、あのマフラーの君は大野センパイって言うんだって分かって。
あれから告白する機会をずーっと伺ってた私が、やっと勇気を振り絞って…って。
何、笑ってるんですか!」


気付けば、目の前で橘センパイが再び声を殺してお腹を抱えている。


どうも静かだとは思ってたけど、まさか声が出ない程笑ってるなんて。
めちゃくちゃ失礼なんですケド。


ていうかさっきからこの人、噂から想像してたイメージとだいぶ違うな。
もっと無口で、無愛想な人だと思ってた。


「もう、人が恥ずかしい過去を包み隠さずに告白したのに…」


「俺、その電車に乗ってた」


え?
あの姿を橘センパイにも見られてたの?
恥ずかしすぎる。


「あの中学生、お前だったんだ…」


橘センパイは私を見ながら感心したように言う。


「期待裏切らねーな」


ちょっと。
それ、バカにしてますよね。
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